前回のつづきからです。
― 天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにきし くににきし あまつひこひこほの ににぎのみこと:以下「邇邇芸命(ににぎのみこと)」) と木花之佐久夜毘売(このはなさくやびめ) ―
邇邇芸命(ににぎのみこと)一行は筑紫(つくし:現在の九州)の日向(ひむか)の高千穂(たかちほ)の霊峰に天降り国見をしました。「朝日の直(ただ)さす国、夕日の日照(ひで)る国」(この地は朝鮮半島に対峙し笠沙(かささ)の御崎にもまっすぐ通じ、朝日も夕日も明るく照り映えるまことによい土地だ)と仰せられ、この地に壮大な宮殿を建てました。
ある日、邇邇芸命が笠沙の岬にお出ましになったとき、花のように美しい乙女と出逢います。邇邇芸命は一目惚れをしその場でプロポーズしました♡♡♡ この乙女こそ後に妻となる木花之佐久夜毘売(このはなさくやびめ)です。
木花之佐久夜毘売は父親の大山津見神(おおやまつみのかみ:山の神)に許しを得ないと返事できないと答え、邇邇芸命は遣いを出します。大山津見神は結婚の申し込みを たいそう喜んで、姉妹で嫁がせようと姉の石長比売(いわながひめ)までも差し出しました。しかし、邇邇芸命は美しい木花之佐久夜毘売だけ妻にし、石長比売(いわながひめ)はお返しになりました。(残念なことに石長比売はかなりの“おブスちゃん”だったようです。ゴメンナサイ!) そこで、大山津見神は「石長比売は岩のように永遠に変わらない命と、木花之佐久夜毘売は花が咲き栄えるような繁栄を願ってのものだったが、石長比売を返した今、天つ神の御子の命は桜が散るように、はかないものになりました」と申したのです!(T―T)
天つ神の邇邇芸命が容姿で妻を決めるあたりが、とても人間くさくて、また、このエピソードから人の寿命が決まったのかと思うと、天降った天孫・邇邇芸命はもうすでに人としての歴史を歩んでいたのかもしれないなと思うのです。
そして、この話を知ったとき、この歌を思い出しました。
「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」大好きな歌の一つです。歌の内容は寿命の話とは全然違うんですが、なぜか思い出しました。
邇邇芸命と木花之佐久夜毘売のエピソードは、儚い命だからこそ、人は自分の人生を精一杯、咲き誇る桜のように強く美しく生きなければいけないと教えているのかもしれませんね(*U_U*) (おっちー)